ボルドーへ

またしても眠りに沈みつつ

前日まで仕事で、しかも今年は出発時間もはやいということで、うちあげだのなんだにも出ることができず、わずかに一日遅くしておけばよかったぁ……と思いつつも、今年もまた旅行の日がやってくる。今回は、仕事帰りから旅行出発まで、1時間ほど仮眠をとっただけで、起きたままでいた。用意があまりできていなかったのもあるし、早い時間に起きることができるか心配だったのもあるし、ただ単にネットゲームをしたかったというのもある。
成田までの道行きでもそれほど眠くはなく、旅という点では国内だって捨てたものではないし、心のときめきなどの点でいったらば圧倒的に国内旅行のほうがときめくのになあ、などと車窓からしばらく見なくなる日本の風景を見つつ思う。それでも、毎年強迫観念のように国外に出てしまうのは、一点は国内ではなんだかんだと日常の延長だけになりかねないということと、もう一点はやはり海外の文物をこの目で見たいという好奇心もある。成田エクスプレスに間に合うように、家からタクシーでいったのだが、途中で旅券を忘れたことに気づくという、今までにない大ポカをやって、まあ早めに出ていたから戻ってもらってことなきを得たが、いささか心臓に悪い出発であった。しかしその後は実に調子よく、というか何事もなく進む。
成田からアムステルダムまでの空路はおよそ10時間ほどだったのだが、さすがに寝不足(前日は6時に起きて仕事をして、それから既述のように1時間しか寝ていないで10時のフライトを迎えていた)であるため、本をちらほらと読んでいるか、寝ているか、どちらか、という状態で過ごしていて、あまり退屈とか時間をもてあますという感じもなかった。隣は夫婦もので、仲が割とよい感じで、まあよいなあ、という感じを受ける。夫は閑潰しは絵を描くというかわった趣味の持ち主であったようで、しきりにスケッチブックにスケッチを描いていたのが印象的だった。
アムステルダムスキポール空港はもう何度目になるのかわからないけれども、空港内に小美術館のようなものがあったりして、過ごすところとして、決して悪いところではない。ただ、ビールがハイネケンくらいしかない、というのはいささか具合が悪い。ハイネケンをmiddleサイズとlargeサイズ、1杯ずつ飲みながら、本を読んだり、日記の穴を埋めたりとしていた。
ボルドーへの飛行機は、セスナ機、ではないものの、ごく小さな、これがジェット機か、というような飛行機で、座席も3列しかない。窓際とは言われたけれども、実際には窓際であり、通路際であるという一人席であった。まだ眠気はなくなっておらず、時折気づくと寝ていたが、窓外の景色は地上がよく見えて、あたかもつくりものみたいだなあ、と思わせるものだった。割と高くはない空を飛びながら、1時間半ほどでボルドーに到着。ボルドーでは荷物がすぐに出てきたので、到着して三十分もしないで街へと向かうバスの中にいたのは、これはすごいことだと思う。

ボルドーの晩

サーモンと卵のオープンサンド
とりあえず、宿についてからは早速に、夕飯を捜し求める。アムステルダムからボルドーまでの機内で出たハムのサンドイッチは確かにハムとバターだけの素朴なものではあるけれども、その素朴さゆえか大して旨かったものの、そうはいっても所詮はおつまみ程度のものである。やっぱりおなかは空いているし、しかもフランスにきて最初の食事ともなるものである。まあまっとうなものを食べたいな、と22時を回った夜なのに考え出す。といっても、フランスも緯度の関係で21時くらいまでは割と夕暮れ模様であったし、夏のヨーロッパではたいがいは22時は食事時の後半くらいかな、という経験からも踏んで、探すと確かにやっている。ここは、と入ったところ(実際にはオープンカフェ形式だから入らないけれども)では、メニューを見るとクラブサンドイッチのようなものばかりが並んでいるので、ちょっと外したかなあ、と思ったが、とりあえずは頼んでみると、オープンサンドといえばそうかもしれないけれども、割とボリュームのあるものが出てきて、一安心であった。
そのまま宿に帰って、0時近くには寝る。初日が終わった。