閑潰し

ナバラを見る

風邪気味ということもあって、8時につい目覚ましはかけてしまうものの、10時頃起床。ホテルの朝食はなかなか豪勢なもので、さすがはやや豪華ホテルと思う。そういえば、フィットネス・コーナーとか使ってないなあ。
やや曇り気味の空で、これは歩きやすいなあ、と思いながら、バス・ステーションへ。明日のサラゴサ行きのバス・チケットを取っておこうと思ったのだが、「明日」「サラゴサ行き」という言葉は通じるものの、「10時」という言葉は通じなかったらしく、タイムテーブルを出されて、「これ」と指差す結果に。とはいえ、とりあえず明日のチケットはおさえた。
その後、少し道を取り違えて、本来行くべき道ではないところに入り込み、タコネーラ公園(Parque de Taconera)に入る。公園というのは、なんというか人の心をほっとさせる部分があるようで、緑がたくさんある公園を見て、ああ、よいな、という気分になる。ちょうど、昨日読んでいた本『パーク・ライフ』もまた、公園での安らぎみたいなものが描かれた小説だった。
パンプローナで見るべき場所としては、あとはナバラ博物館だけなのだが、と思いつつ、昨日それと思しきところへ行くと、何か微妙に様子が違う。たくさんの人が座って本読んでいたり、パソコンで作業していたりするし、展示は?と思うと昨日通った城址の設計についての簡単な展示(ちなみに、砲術や築城に関する書物がたくさん展示されていた)がある以外には展示もないし。と思ったら、よくよく見るとそこはナバラ資料館とでも訳せばよいのだろうか、あるいは単にナバラ図書館と言ってよいのか、Archivo de Navarraという施設であった。
ナバラ博物館で撮影をするスペインのTV局?
地図を見直して、本来のナバラ博物館(Museo de Navarra)へ。特設展示は「『ドン・キホーテ』のイメージ」という展示であり、比較的古い17世紀のものなど、へえ、そういう感じなんだ、という普通の騎士物語風な感じだったりする。基本的に、日本人の『ドン・キホーテ』読者は大なり小なりドレ画のイメージなのではないかと思うが、あれはフランスなのでここにはない。
全体としての展示は、一応先史時代から20世紀までカバーされているが、全体の印象はきわめて放漫。その中で、モーロ・ゴチック風(Mural- Gothica と書かれていたが、おそらくはイスラム教徒=モーロ人の影響を受けたゴチックということだと思う)の様式だけが目立った。モーロ・ゴチック、あるいはムーラル・ゴチックは通常のゴチックがやや冷たい印象なのに対して、色合い、表情のつけかたなどに温かみと柔らかさがあって、ちょっとだけ現代に通じるものを感じた(たとえば、すごくマイナーで誰にも伝わらないような気がするけれども、J.H.ブレナンの画風とか近いと思う)。
あとは、ゴヤゴヤの絵はたった1枚、しかもそれほど素晴らしいものとは思えないものがあったのだけれども、それだけは一目で「違うのね」という扱いだった。ゴヤイスパニアの国民画家っていう位置づけなのかしら。

閑潰し

昼はカフェ・イルーニャでぼんやりと過ごしていて、それでシエスタ・タイムになったらホテルに帰って寝てしまおうか、などと考えていたのだが、それも何か無益な気もして、どこかに行こうか……という気になる。とはいえ、昼から出かけて、片道2時間とか3時間かかるところは厳しいなあ、と思うと、ビトリア(Vitoria/ Gasteiz)という都市に目星をつける。
14時頃にバス・ステーションに行くと、15時発のビトリア行きのバスがある。それならば、と思ってビトリア行きを待って乗り、1時間強かけてビトリアに到着。『地球の歩き方』を見て、カテドラル(Catedrale de Santa Maria)とフルニエル・トランプ博物館(Museo Fournier de Naipes)中心に見よう、と思っているが、なんとしたことか、街中が休日モードになっている。そのうえ、街の人と思しき人々は、なにやらみな、民俗衣装というか郷土衣装に身を包んでいる。ビトリアは、通常の状態ではないようだった。
所詮は閑潰しで来たとはいえ、帰りのバスは18時を指定していたので、少しがっかりしながらバス・ステーションを再び目指してゆくと、『地球の歩き方』にも載っていない現代美術館(Artium, Centro Museo Vasco de Arte Contemporáneo)に行き当たる。一度は、「現代美術は性に合わないのだよ」と思って通り過ぎたが、空しく1時間を待つよりは、と思って入館。約5ユーロの料金を払ったけれども、割とおもしろかった。というのも、近代以前の美術作品と、それに想を得た現代美術が併置されている、おもしろい展示の仕方をしているのだ。本歌取りといってもよいし、オマージュといってもよいし、あるいは再構築といってもよいのだろうけれども、この並べ方が非常に素晴らしいのだ。正直、おもしろさだけでいったら、ナバラ博物館などものの数ではないくらいだ。しかも、ホセ・デ・リベラやスルバランなどの、イスパニアバロック美術を語るうえで缺かせない画家の作品も、実際にあるのだ。
帰りは、よくわからない表記がついていたバスを指定していたのだが、乗っていてわかった。行きのdirectoは直通というか、急行で、1箇所だけ停車しただけで、あとはひたすらビトリアまで走るだけだった。帰りは各停みたいなもので、もうそこら中の街に寄っては降ろし、乗せ、という感じで、行きで1時間10分だった道を2時間で帰ってきた。

ちょっと逃避

やはり、スペイン語ばかりは疲れるので、アイリッシュ・パブで夕食を。ホテルの真ん前にあるのだよなあ。ただ、ここは食事メニューはスペイン風。正しい選択だ。イベリア風サラダ(Ensalada Iberica)を頼んだが、生ハムの乗っているサラダで、夕飯はこれで十分かも、という感じだった。そして、ビールはギネスは重過ぎるので、キルケニーを頼んだが、ないのでバス・ペール・エールをいただく。ひさびさのビール感。日本ともまた違うけれども。

今日のスペイン語

明日 manana

トルティーリャ tortilla

ハム jamon

チーズ queso

英語 Inglés

サラダ ensalada

イベリア風 iberica